インタビュアー
「いつもお世話になっています。
遺留分侵害額請求権について、お聞きしたいことが。
1人親で3人子供がいるご家庭で長男が事理弁識能力を欠く成人した子。
親の遺言によって、遺産分割協議は省略されて、相続は無事に終わった後に、その長男が入所施設で移転することになり、その手続で後見人がつくことになった。
遺留分侵害額請求の期限は遺留分権利者が知ってから1年以内と期限があるが、この場合って相続のタイミングから1年なのか、後見人がついてから1年なのかどちらになりますか?」
渡邉司法書士
「これは相続から一年たっていても、後見人がついてから6ヶ月間は請求できたはずです!
時効の停止というのですが、事理弁識能力を欠く方の場合、後見人がついてから6ヶ月間は時効が完成しないので、その間に遺留分侵害額請求を行うか後見人が検討することになるって感じだったと思います!
確認のため、伊藤先生のご意見も伺えれば幸いです!」
伊藤弁護士
「渡邉先生のご認識のとおりかと!
最高裁によると、時効満了前6ヶ月以内の間に意思能力を欠いており、かつ、時効満了前に後見開始の申立てが行われた場合には、後見人就任後6ヶ月は時効停止するとされています。
これに従うなら、早めに後見申立てをすべきです。ただし、時効満了前に後見申立てが行われなかったとしても、請求が認められる可能性はあります。この点は、最高裁も明示的には否定していません。」
渡邉司法書士
「知的障害のある方が、何もわからないうちに時効が完成してしまい、本来請求できた権利を失ってしまうというのは可哀想ですもんね。
反面、生命保険を用いて親なきあとの対策をしていた場合、たとえば障害のある子のために生命保険信託で財産を残している場合については、その他の相続財産についても障害のある方は遺留分を持つので、そこはケアしてあげる必要がありますよね。難しいところです。」
インタビュアー
「お二人ともご回答ありがとうございました!」